ネパールの活動の事例
ネパールで実施する事業の一部をご紹介します。
※ CDPとは:(Community Development Project)グッドネーバーズが実施する地域開発プロジェクトです
バディケルCDP
教育支援
カトマンズ市街より南に約10Km行ったところにあるバディケルと呼ばれる地域があります。この地域では、パハリと呼ばれるアウトカースト民族がおり、彼らは生活、職業など様々な点でいわれなき差別を受けており、社会から取り残されているのです。
例えば、この地域にある2つの公立学校の写真をご覧下さい。
同じ地域にある同じ公立学校なのですが、設備に明らかな差があります。左の学校がはるかにキレイです。また右の学校はメンテナンスもずさんでトイレも使用できない状態です。この差はどこから生じるのでしょうか?
答えはこうです。
右の設備が古く、メンテナンスもされていない学校はパハリの子ども達が通う学校なのです。
パハリ以外の子ども達はパハリの子ども達と一緒の学校へ通うことを嫌い、キレイな校舎の公立学校へ通います。いずれの学校も、先生をはじめとする職員は高カーストに属しています。彼らにパハリの子ども達を見る気はありません。ただ最低限のことをするだけです。
グッドネーバーズ・ネパールは、このような状況を打開すべく、学校の委員会、校長などと掛け合いました。
「この学校(右のパハリの子どもが通う学校)を支援したい。協力させてほしい。」
彼らから返ってきた答えは、「ダメだ。しかし、お金だけくれれば、私たちがやってあげる。」でした。
しかし、彼らの言葉は信用できず金銭だけの援助は断りました。
このような状況の中、グッドネーバーズ・ネパールは、このバディケル地域で学校を設立し、運営をしています。現在はパハリを中心とする小学校前の子ども達と小学校1年生から3年生までの計150人ほどがグッドネーバーズ・ネパールが運営する学校で学んでいます。
バディケル地区には全部で10の学校がありますが、そこで一番という評価を地方政府組織であるDistrict Educational Officeから頂いています。
教師の質、教材、教授方法などが評価されたのです。彼らはこのことを誇りにして、この地域の良い手本になりたいと言っていました。
現在、150人ほどを抱えていますが、今後年間30人ほどが新たに入学する予定です。しかし、実は教室がもう一杯。現在、この教室拡張の資金調達も彼らの悩みの種です。
バディケル子どもの家
グッドネーバーズは、ここバディケルにて、子どもの家も運営しています。36人の子ども達が、この子どもの家にて宿泊をし、9人の子どもたちが彼らの家で寝泊まりをしながら、様々な形でグッドネーバーズのケアを受けています。
定期的に、子どもの家の運営の問題点を話し合ったり、子ども達の親と子どもや家庭での問題を話し合う機会を持ったりしています。
サングラCDP
子どもの家に到着すると歯磨きをしている子ども達がいました。鍋を洗ったり、掃除をする子ども達も。元気もいいですが、行儀よく生活しています。
ここサングラ子どもの家は、男の子用と女の子用とで宿舎がわかれていて、それぞれで共同生活を送っています。ここで寝泊まりをする子どももいますし、昼間の間ここで時間を過ごし、家に帰って家族と一緒に寝る子どももいます。
子ども達は、いろいろなコミュニティから来ています。ネパールでは、コミュニティ間でわけ隔てなく生活をするということはありません。異なるカーストに属していればなおさらです。
しかし、将来ネパール社会からコミュニティ間の垣根をなくしたい、と強く願うグッドネーバーズ・ネパールの想いがあり、このように様々なコミュニティーからくる子ども達が共同生活を送っています。彼らは、コミュニティ間で調和のとれた社会を作りたい、そのためのモデルをここで作りたい、と語ってくれました。
言葉で言うのはたやすいことですが、とても難しいことです。また、このような試みの結果は数字に表れてくるものではありません。しかし、ネパール人スタッフがネパールでの問題を捉え、それを克服していきたいと考え、行動していることはとても大事なことです。
そんなスタッフのもと、ここサングラ子どもの家で実践されていることが、“Care is Love”です。他人を思いやること、他人の世話をすること、それが愛だよ。そして愛とは、他人を思いやること、世話をすることだよ、と教えています。
思春期の子ども達はやはり悩みも多い。 相談してきた子ども達に対し、真剣に話をするスタッフの姿がありました。
「どうもありがとうございます。今は私たちは、みなさんに支援してもらっているおかげでここで幸せな生活が送れています。しかし、将来、私たちが他の貧しい、困っている人々、国を支援できるようになりたいです。」
これにはいつも子どもの世話をしている現地スタッフも驚いていました。そしてとても嬉しそうでした。
今までのプロジェクトの進め方の問題点はないか。 今後はこういうことをしていったほうがいいのではないか。 そんな話を、仕事以外の時間にもしょっちゅう。子ども達のことを好きというだけでなく、自分たちの仕事のやり方を常に見直そうとしています。
皆さまから寄せられる一つひとつの支援が、プロジェクト地域の子どもの成長を 助け、地域社会の発展を支援する大きな力となります。