グッドごはんをきっかけに、「一人ぼっちじゃない」と思えた息子 ~グッドごはんを継続的に利用する人へのインタビュー~
グッドネーバーズ・ジャパンは、日本国内の子どもの貧困対策として、ひとり親家庭への食品支援事業「グッドごはん」を運営しています。
当団体は、グッドごはんを利用する家庭に寄り添った支援を行えるよう、利用者の声を聞くことを大切にしています。
今回グッドネーバーズ・ジャパンのスタッフが、高校生のお子さんを育てる利用者の恵子さん(仮名)へインタビューを行いました。
恵子さんは、元配偶者からのDVが原因で離婚し、ひとり親家庭になりました。
夫から暴力を受けても初めは耐えていた恵子さんですが、次第に息子さんにまで被害が及ぶように・・・。幼い息子さんを連れてシェルターに避難し、息子さんが2歳の時に離婚が成立しました。
その後、恵子さんは身体に障がいのある父親と認知症の症状がある母親のサポートをしながら、派遣の仕事で収入を得て、子育てを頑張ってきました。
就労の手取りは、交通費込みで月16万円程度です。養育費は受け取っておらず、生活は楽ではありません。
今回のインタビューでは、恵子さんが継続的にグッドごはんを利用してきた中で感じるご家庭での変化や、グッドごはんへの印象などについてお話を聞きました。また、恵子さんのお子さんからも、グッドごはんへのメッセージをいただきました。
1日1食しか食べなかった子どもが・・・
――恵子さんが初めてグッドごはんを利用したのは、新型コロナウイルス禍の時ですね。
恵子さん はい、コロナ禍になって派遣の仕事の収入が減ってしまい、生活に一層不安を抱えていた頃でした。インターネットでフードバンクを探していたら、グッドごはんを見つけたんです。
早速申し込むと、ダンボールいっぱいの食品が自宅に届いて(※)、すごく驚きました。
※グッドごはんでは原則として対面で食品配付を行っていますが、コロナ禍には感染対策のため一時配送にて食品をお届けしました。
――その頃、息子さんはおいくつだったのですか。
恵子さん 中学3年生でした。息子は1日に1食しか食べないこともあったのですが、グッドごはんで食品を頂くようになってから、3食食べてくれるようになったんですよ。
――それは嬉しい変化ですね。
恵子さん グッドごはんは、息子がお料理に目覚めるきっかけにもなりました。食材が家にあって「いっぱい食べてもいいんだ」とわかっていることもあって、家でご飯を作ってくれるようになったんです。息子はパスタが好きで食べることが多いのですが、小麦アレルギーがある私のためには、パスタソースをかけたドリアを作って、「ママはこっちを食べて」と気遣ってくれたりします。
息子は高校生になってから飲食店で調理のアルバイトを始めて、今もずっと続けているんですよ。
「やっぱり一人じゃないんだな」
――恵子さんのためにご飯を作ったりと、お母さん思いの優しい息子さんですね。
恵子さん 以前は反抗期がすごくて、息子から「親ガチャ外れた」って言われたこともあったんです。コロナが始まった頃でした。生活が苦しくて、値段の安いもやしばかりが食卓に上がるようになってしまって。だから、食事が無いってなるとこんなに荒むのかなって。
――つらい思いをされていたのですね。
恵子さん 息子はいじめを受けて学校に行っていなかったこともあって、もういろんなことが八方ふさがりで、イライラしていたと思うんです。コロナ禍もありましたし。
でも、そんな時にグッドごはんの食品が届いて。そこに支援者さんからのメッセージが添えられていて、それを息子が読んでいたんですよね。それで、また何か言われるかな、こんなもん頼るなよとかなんとか言われるかなって思って見ていたんですけど、「ありがたいね」って言ったんですよ、うちの子が。そして、「一人ぼっちだと思ってたのに、ママと二人だけだと思ってたのに、知らない人も助けてくれるんだね。あぁ、やっぱり一人じゃないんだな」って言ったんです。
だから、グッドごはんの支援が本当に、あの子の考えが変わる良いきっかけになりました。「一人ぼっちじゃない」って思うきっかけになったみたいです。それに、親子の会話も増えました。
――そのようなお話が聞けて嬉しく思います。
恵子さん 息子は今高校3年生なのですが、「声優になりたい」という夢があり、卒業後は専門学校に通う予定です。通学のための奨学金を返していく必要があるので、今からバイトをすごく頑張っていて。だから、本当にやりたいんだなぁって。親として、息子の夢を応援していきたいです。
――素敵な夢ですね。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。
~息子さんからのメッセージ~
グッドごはんの支援が、息子さんの変化のきっかけになったと話してくださった恵子さん。
息子さんご本人から、グッドごはんへのメッセージをいただきました。
(グッドごはんを初めて受け取った時期に)学校に行っていなかったので部屋にこもり、食にもあまり興味がなく、家にあるものをなんとなく食べていました。コロナ禍になり、家計が厳しくなったのがなんとなくわかってきて、どうなるのかなって思いました。
そうしたら、ダンボールに入った食材が届き、驚きました。母と2人で、すごいねって久しぶりにいろいろ話した記憶があります。助けてくれる人っているんだなって思いました。
これから初めてのことだらけの学校生活が始まるので、とても不安ですが、後押ししてくれた親のためにも頑張りたいと思います。将来は、人を喜ばせることができる人になりたいです。
今まで長い間、本当にありがとうございました。
※恵子さんご家族は、お子さんが18歳を迎えたため2024年3月をもってグッドごはんの支援を卒業しました。
今回は、グッドごはんを継続的に利用する恵子さんへのインタビューをお届けしました。
グッドごはんの活動を支援してくださる多くの皆さまの温かいお気持ちが、グッドごはん利用家庭の背中を支え、笑顔と希望をもたらしています。
どうか引き続き、グッドごはんへの温かい応援をよろしくお願いいたします。
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