世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2024.10.08 活動報告

【エチオピア】平和構築事業1年目を終了しました<前編>

平和イベントで“ピース”を見せる参加者たち(コチョレ郡、2024年2月撮影)

グッドネーバーズ・ジャパンは、皆様から温かいご支援をいただき、エチオピアでの平和構築事業の1年次を無事に終了することができました。本事業は、エチオピア南部のゲデオ県・西グジ県において、国内避難民、帰還民及びホストコミュニティ(国内避難民を受け入れる側の地域住民)の双方(以下、「裨益者」)を対象に、生計基盤の拡大・安定化と、異民族間の調和が促進されることを目指して行われ、多くの成果を上げることができました。

1.生計向上:紛争によって家や農地を失った人々に対して、生計手段となる家畜を提供し、彼らの経済的な自立に貢献しました。また、現地行政の農業担当員へ研修を行い、彼らの能力強化を行いました。これによって村の人々は、事業終了後も継続的に、限られた農地や家畜で最大限の収入を得るために適切な助言を受けられるようになりました。

2.社会統合:社会統合研修、平和教育、対話や平和イベントを通じて、現地行政関係者、村の平和委員会や小学校の平和クラブとともに、平和の重要性と紛争解決方法について考え、そして平和のための行動を実施してきました。さらに、異なる民族が通う小学校の教室を増築し、教育環境を整えました。これらによって、村の人々は平和を維持するための知識と経験を身につけ、異なる民族でも信頼関係を築くことで地域社会の結束力と絆を強めました。

この記事では上記の「生計向上」を目的に行った活動をご紹介します。
紛争で影響を受けた人々の収入を向上させるために、大きく分けて2つの活動を行いました。

1.現地行政の農業担当官・普及員への研修

エチオピアでは、現地行政の農業担当官・普及員が農畜産物を育て適切に販売できるように村の人々へ助言をする役割を担っています。彼らがより多くの情報や知識を得ることで、村の人々はより適切な栽培や飼育をすることができるようになるのです。

そこでグッドネーバーズは地域の大学と協力し、能力強化のための研修を行いました。研修には延べ147名が参加し、各自アクションプランを作成し、研修で得た知識やスキルをどのように農家へ伝達していくか計画を立てました。

畜産に関しての研修を受けた現地行政の担当官、普及員たち(ディラ市、2023年7月撮影)

2.裨益者への家畜提供

2018年に発生した紛争では、多くの人が家や農地、家畜を失いました。農畜産業で生計を立てている人々にとって、農地や家畜を失うことは職を失うことと同じです。紛争時に国内避難民となって逃げていた人々は、紛争が沈静化した後に元の居住地に戻ってくることができましたが、破壊された家や家具などの再建に精いっぱいで、多くの人は土地や家畜を新しく購入する余裕がありませんでした。紛争から6年たった現在でもその状況は大きくは変わりません。

そこでグッドネーバーズ・ジャパンは、経済状況や生計手段の有無、家族構成などを確認し、より支援が必要であると判断した258世帯の裨益者に対して、家畜(※)を提供しました。

※18世帯へ羊3頭ずつ、144世帯へヤギ3頭ずつ、48世帯へ鶏20羽ずつ、48世帯へ養蜂箱3セットずつ

羊を受け取った裨益者たち(ゲデブ郡、2023年11月撮影)

そして適切に農畜産物を管理し、収入を得られるように、研修を行いました。そこで餌や病気を含む飼育方法、繁殖や販売方法などについての理解を深めました。家畜が提供された後も、フォローアップとして①で研修を受けた農業担当官及び農業普及員、ならびに獣医とともに、日常的なモニタリング訪問やサポートを行いました。

また、裨益者同士が気軽に相談や助け合いができるように複数の共助グループを作りました。この仕組みでは、家畜が急に病気になって薬が必要な場合や、餌代が足りない場合に、貯蓄した基金からお金を借りることもできます。これによって現地行政、そして村の人々同士で相互扶助ができるため、経済的な自立に向けて持続可能な生計手段を確保することができます。

受け取った鶏を飼育する若者(2024年5月撮影)

住居や生計手段を失った人々が経済的な自立をできるように支援しました。その安心感や将来への見通しがあることで、異なる民族との信頼関係の構築にも進むことができます。
各コミュニティのリーダーだけではなく、未来を担う子どもたちにも研修を行い、「異民族間」や「政府関係者と住民」という様々な関係性に平和の基礎となる信頼関係や相互理解を促す取り組みをしました。

■事業詳細 (3年事業の1年次) ※本事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。
事業期間:2023年3月~2024年4月
予算:85,665,475円
事業内容:現地行政の農業担当官や農業普及員のトレーナー養成研修支援、家畜の配布による生計向上支援、平和委員会や平和クラブの活動の活性化、現地当局と住民の対話の機会創出による両民族の相互理解促進、そして両民族の交流を促すための公共施設の整備支援等
間接裨益者人口:対象となる4つの郡に住む約89万3,988人

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