カンボジアの子ども達とボランティアがハーフマラソンに参加
子ども達とボランティアがマラソンに参加
2010年2月
電気がない農村の村、カンボジアのベンモンで、一度も村を出たことがない小学生6人が、国際ハーフマラソンに挑戦しました。練習では1キロも走れず、疲れたとただをこねていた子ども達が21キロを完走するとは、一体何が起きたのでしょうか?
「本当にこれは奇跡っすよ!」子ども達と一緒に完走したボランティアのイム・コンヨプさんに聞いてみましょう!
こんにちは。まずは自己紹介をお願いします。
こんにちは。私はGNボランティア24期で2009年2月からカンボジアにいるイム・コンヨプです。ベンモン事務所で体育教育を担当しています。
体育の先生ですね。それでマラソンを…。 ところで、子ども達がマラソンに参加したきっかけは何ですか?
ベンモンの小学校の子ども達の殆どは村を離れたことがないです。私は週に2回、体育の授業を行うたびにみんながどんなところに住んでいるのか知りたかったんです。
それでこの子達と外に出てできることはないか悩んでいるところに、アンコールワット国際ハーフマラソンがあることを知りました。それでテコンドー授業をとっている子ども達に話したら、6人が参加する事になりました。
車いすでマラソンに参加した生徒もいたんですか?
カウライは自からマラソンに参加したいと言いました。カウライが住んでいる地域は電気、水道も無く、道には大きな石や土の塊があります。
しかし、彼の車いすは11歳の時から5年間も使っているため、16歳のカウライにはとっても小さいのです。そのため、車いすの外に足が出てしまい石に当たり傷だらけになり、そのため血が…。
私はそんな事も知らず、やりたいというから、「分かった、やろう」と言いました。
ええ!?じゃあ、その小さい車いすで参加したんですか?
まさか。そんなことをしたら足がもうダメになってしまいます。
実際、カウライの体に合う車いすを手に入れることが最優先でした。
それであちこちを探しまわり、幸いにもカウライの体に合った丈夫な車いすを援助してもらうことができました。
それは良かったですね。新しい車いすをもらえて。
私にとって、もっといい事がありました。一緒にマラソン練習をしながらカウライと一緒に過ごす時間が多くなり彼についてもっと沢山の事を知るようになりました。
なぜ、車いす生活になったか、いつも笑っているけどいかに寂しくて大変な日々が多かったのか少しずつ分かるようになりました。
カウライにとってなくてはならない新しい車いすができた喜びは言うまでもなかったでしょう。
練習で最も記憶に残っているエピソードがあるとしたら何でしょうか?
モウンイという子どもは背が140cm程度と、他の同年齢の子より小さいほうなのですが、他の子ども達は1km走るだけで疲れて休もうと言うのに、モウンイはそうではなかったんです。
小さいモウンイがいつも先頭になって疲れている大きな子ども達を引っ張っていました。そうすると、皆刺激を受けてもっと懸命に走るようになって…。本当に面白かったというか、「びっくり?驚異?」だったというべきかな、ハハ。
(右)並んで入ってくるモウンイとリー。2時間38分の記録でゴールした。
お友達のみなさん、みんな完走しましたか?
はい、もちろんです!
私の子ども達がマラソン大会の最年少参加者でしたが、誰一人棄権せず完走しました。本当にたくましいです。
特にピロアプ君は前日から足がすごく腫れてとても痛がっていて、ソパル君もやはり腹痛がひどくて4時間以上を走りながらもあきらめず、とうとう完走しました。
もちろん、我等のカウライ君も3時間かかって完走しましたね。
体の具合が悪いのにどうしてあきらめなかったでしょうか?
私は来年も大会があると言って説得したのですが、絶対に走りたいとお願いされました。簡単に諦めたくなかったんですよ。救急車の安全担当の人に子ども達を見てもらい、私は車いすのカウライと一緒に走りました。
そのあと、ゴールで待っててもなかなか彼らが来ないので探しに行っら、ゴールまで2km足らずの地点で歩いていました。それで残りの距離を私と一緒に走ってゴールすることができました。
カウライ君はどうでしたか。相当疲れたでしょう?
カウライは練習の時も1kmは自分で押して、1kmは私が押してちょっと休憩。このようにしました。実は当日は前日の不眠もあって調子が良くなくて100mを一人で走ることさえ精一杯の様子でした。それで私が3kmを押し、カウライが100m押し…こんなふうに走りました。
それではイムさんがとっても疲れたでしょう?
正直、私はその前日に自転車マラソンに参加したため、本当にとても疲れました。
運動靴もなくて自分の足より小さいものを履きました。そしたら、走っている間、カウライが自分が知っている面白い話を してくれながら応援してくれました。
そして、周りの観光客の皆さん、現地住民、他の参加者の人達がずっと応援してくれたので私もカウライも諦めることができなかったです。
最後の50mは自らの力でゴールしてほしくてカウライ一人で走らせました。あちこちでカメラのフラッシュが光り、周りの人が自分を応援してくれることが不思議で気分が良かったのか、手を振ったりしてとても余裕を持って走りましたね。ハハハ。
とにかく、カウライが最後まであきらめなかったことがとても自慢でした。
本当に感動的ですね。完走した感想は?
涙・涙の…ドラマのようなラストシーンではなかったけど互いの感情を共有することができましたね。
そして「来年もまた参加しよう!」「いつからまた運動を始めますか?」と尋ねる子ども達の様子から成長をうかがうことができましたね。
マラソンの後、何か変わったことはありますか?
エー…無理だと考えていたマラソン完走を通じてやればできるという自信と勇気をもつようになったと思います。
個人的には私は子どものやる気をみることができてとても良かったですね。私が教える体育を通じて子ども達が成長することができたと確信し、本当に嬉しかったです。
イムさん、素敵なニュースをありがとうございました。^ ^
残りのボランティア期間も頑張って、子ども達に希望と勇気を伝えてください。