【エチオピア内戦】食糧および医療支援の準備を進めています
2020年11月、エチオピア共和国北部のティグライ州において、エチオピア中央政府とティグライ州軍の武力抗争が勃発しました。同月末、中央政府軍により勝利宣言が出されましたが、州内各地では依然として武力紛争や略奪行為が続いています。
また今年3月には、隣国のエリトリア軍がティグライ州に進行し、現地住民に影響が出ていることも明らかになりました。3月16日、エチオピア首相によりエリトリア軍の撤退が表明されましたが、撤退の時期は不明とのことです。
この影響を受け、現在も戦火を逃れるために移動を余儀なくされた国内避難民の数が増加しています（4月25日時点で約170～220万人）。
この緊急事態に対しグッドネーバーズ・ジャパンは、現地アライアンス団体であるグッドネーバーズ・エチオピアと協力し、2021年4月15日より、国内避難民が集中しているティグライ州の州都Mekele、そして隣接するWukro郡を対象に緊急人道支援を実施しています。
支援は大きく食糧配付支援と被災医療施設支援に分けられます。
※本事業は、ジャパン・プラットフォームのエチオピア紛争被災者支援助成事業です。
①食糧配付支援
ティグライ州臨時政府は５月時点で、同州の全人口700万人のうち、およそ90％の人々が食糧を必要としていると推測しています。また他支援機関の調査によると、子どもをはじめとした深刻な栄養失調(SAM: Severe Acute Malnutrition) の報告が相次いでいるとのことです。
食糧不足の背景にあるのは、不安定な治安だけではありません。農耕器具や肥料などが略奪されたことにより、5月からの農耕シーズンに合わせて種植え等の準備をできなかった農家が多くいます。これにより、今後より深刻な食糧事情の悪化が懸念されています。
グッドネーバーズ・ジャパンでは、以下の内容での支援を準備しています。
- 支援対象：対象地域における避難民1,550世帯(約7,750人)
- 支援内容：2か月分の食糧（5歳以下の子どもと授乳期・妊娠中の女性がいる世帯には、幼児でも直接食べられる栄養補助食品を追加配付）
4月より、食糧配付の対象となる避難所を選ぶため、現地スタッフが州都Mekeleにあるいくつかの避難所を訪問し、世帯数や子どもの数、妊娠中の女性の数、現在受けている支援の実態や、追加で必要な支援の内容などを調査しました。現在Mekele市内及びその近郊には23個の避難所が確認されていますが、いくつかの新設の避難所の中には、まだ他機関による支援を受けられていない所もあります。
5月の初めには、食糧配付をサポートするボランティア20名の選定を行いました。選定したボランティアの多くは他NGOでの事業経験を持っています。また同時に、食料の購入先の選定も行っています。複数の業者から見積もりを入手し、価格や内容、納期を比較したうえで選定します。
これらの準備が整い次第、近日より食糧配付を順次開始する予定です。
②被災医療施設支援
ティグライ州では7割以上の医療施設が紛争により被災し、治安問題、物資の略奪や建物の破壊により十分な医療サービスが提供できていません。
グッドネーバーズ・ジャパンでは、以下の活動を予定しています。
- 支援対象：対象地域内にある7つの医療施設（これによりカバーされる人口最大325,000人）
- 支援内容：医療物資の配布（抗生物質等の薬品、アルコール、ブランケット等）
食糧配付事業と同様に、支援の対象となる医療施設を選ぶため、現地スタッフが州都Mekeleにあるいくつかの医療施設を訪問し、薬品や医療物資、資材の保有状況などを調査しています。また、現地政府医療担当者やその他医療・健康関連に関わる機関と協議し、最も支援を必要としている医療施設の情報、そして最も緊急性の高い薬品についての情報を入手しています。
薬品以外で医療施設に配布予定であるブランケット、グローブ、消毒アルコールなどについても、食料と同様に購入先の選定を行い、購入次第、医療機関に提供する予定です。
一日も早く避難民の方々、とりわけ脆弱世帯が、必要最低限の食糧を確保し、必要な医療を享受できるよう、グッドネーバーズ・ジャパンは支援を続けて参ります。
