【バングラデシュ サイクロン】4棟のサイクロンシェルターの修繕が完了しました
南アジアのベンガル湾に面したバングラデシュは、毎年のようにサイクロンが上陸し、甚大な洪水・浸水被害を受けています。特に同国南部の沿岸部パトゥアカリ県カラパラ郡は、サイクロンが頻繁に上陸する地域の一つであり、過去にも大きなサイクロンを何度も経験しています。
しかし、サイクロン発生時に住民が避難するサイクロンシェルターの数の不足、設備の老朽化等が顕著であるにもかかわらず、そのような問題は放置され、災害の際の避難が困難となっていました。
この状況を受けて、グッドネーバーズ・ジャパンでは、「カラパラ郡におけるサイクロンシェルターの修繕・建設および住民の防災能力向上支援」を実施しています。
※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。
支援内容
2022年3月より開始した1年次事業では、カラパラ郡モヒプール、ダルブガンジ、ニルガンジの3つのユニオン(行政区)にある4棟の既存サイクロンシェルターの修繕を実施しました。また、住民の防災能力向上を目的として実施した防災訓練では、サイクロンでの避難の大切さを伝えるために、村の有志が消防署の協力による消火ホースを使用してリアルなサイクロンの再現をした劇を行いました。さらに、サイクロンシェルターの施設管理委員会・コミュニティ主体の村災害管理委員会であるVDMC*の組織化などの活動も行いました。
*VDMC(Village Disaster Management Committee):本事業において設立した村単位の災害管理委員会。各村を代表して村のニーズを地方行政および区災害管理委員会等の防災担当ステークホルダーへ伝達する役割を担う。
サイクロン・モカへの対応
通常サイクロン接近が予想される場合、CPP*が警報を発し住民の避難を促します。しかし、カラパラ郡のような農村地域では連絡手段を持たない人も多く、住民への情報伝達が課題となっていました。
2023年5月上旬にベンガル湾沖で発生したサイクロン・モカが接近した際、グッドネーバーズは最新の災害情報の共有、地域の状況報告などを行う連携会議を開催しました。関連行政機関および地域リーダー、事業の中で形成した災害管理委員会などを招集した当会議により、行政が発信する情報を迅速に地域住民へ伝えることができました。
幸いにもサイクロンはカラパラ郡に上陸することなく通過したため、被害等は発生しませんでしたが、本事業で取り組んだ災害管理委員会が実際に役割を果たし、行政と地域の連携が実現する機会となりました。
*CPP(Cyclone Preparedness Program):バングラデシュ政府とバングラデシュ赤新月社が共同設立した半官半民の団体。政府・同社のオフィサーが地元住民のボランティアを組織して活動している。
2年次に向けて
2年次も引き続き、住民の防災能力向上を目指した訓練の実施、サイクロンシェルターの施設管理委員会・災害管理委員会の活動の強化、地域のステークホルダー同士の関係構築に努めていきます。また、モヒプールユニオンにおいて、3階建ての多目的サイクロンシェルター1棟とそれに隣接する家畜用シェルター1棟の建設を行うことで、同地域における災害時のリスクの軽減を目指します。
関連ページ
【バングラデシュ サイクロン】シェルターの修繕・建設および住民の防災能力向上を支援