世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2022.09.29 活動報告

【モザンビーク 紛争】自分のお店を構え、ビジネスをスタートした避難民

2017年10月以降、モザンビークでは北部のカーボ・デルガド州を中心に、武装勢力による襲撃が断続的に発生しています。死者数は4千人以上(CABO LIGADO, 2022年9月20日)にのぼり、約94万人(IOM, 2022年7月26日)もの国内避難民が支援を必要とする日々を送っています。

グッドネーバーズは、現地の調査を行い、その結果をもとにした水衛生支援事業を行っています。この事業では、国内避難民が生活する再定住居住地と、避難民を受け入れることで基礎インフラが飽和状態となっているホストコミュニティ居住地との、両方を支援しています。 

※当事業は、ジャパン・プラットフォームのモザンビーク北部人道危機対応助成事業です。

地域のために活動する衛生啓発プロモーター

2022年3月14日から16日の3日間、グッドネーバーズは水衛生事業の一環として、衛生啓発プロモーターのトレーニングを行いました。衛生啓発プロモーターは、住民の中から選出された90人で、その半数以上が女性で構成されています。トレーニングの後、3月下旬から5月にかけての約2か月間、コミュニティ内の各家庭に対する衛生教育と衛生用品の配布活動を行いました。

その結果、トレーニングを受けた衛生啓発プロモーターとグッドネーバーズが協力し、3,354世帯の15,257人に衛生教育を、3,204世帯の人々に衛生用品を届けることができました。 

衛生教育と衛生用品の両面から支援することで、知識と結びついた行動の改善が見込まれ、地域全体の衛生環境を向上させることができます。それが地域の人々の命と健康を守ることにつながっていくのです。 

プロモーターとして活躍した、国内避難民のアブさん

衛生啓発プロモーターのひとりとして活躍したアブさんは、ナミナウェの再定住居住地に暮らす国内避難民です。プロモーターとしての活動を終えて1か月ほどたったころ、アブさんはうれしいお知らせを届けてくれました。教育と衛生用品を届けることを通して、アブさんが手に入れた笑顔の理由を、ご紹介します。

衛生啓発プロモーターとして活動していたアブさん(中央)

もともとは農民として毎日働いていたアブさんですが、国内避難民として再定住居住地に来てからは、農地を失ったために仕事ができませんでした。不安で胸が押しつぶされそうな中、政府、国連、NGOなどの支援を待つ日々を過ごしていたと言います。 

紛争が起こる前は当たり前に仕事をし、当たり前に学校に行っていた人々が、紛争によって身の危険を感じ、やむを得ず慣れ親しんだ土地を離れ、国内避難民となります。国内避難民となった人々は、家や農地や仕事、さらには教育や水や医療など、生活に必要な最低限のものへのアクセスを奪われています。なんとか生計手段を手に入れることができた人もいますが、農地がないために収入の手段がない人も多くいます。

衛生啓発プロモーターの皆さんには、無理なく活動していただくために日当をお支払いしていました。アブさんを含め、地域の安全を守りたいという思いを持って参加してくれたプロモーターの皆さんは、現金収入を得ることが難しい生活を送っていたため、活動についてとても意欲的でした。本事業でアブさんは5人のプロモーターを取りまとめ、グッドネーバーズのスタッフやチームのメンバーから、頼れるリーダーとして慕われていました。 

ビジネスを通して地域とつながる

現在のアブさんは、自分のお店を構え、ビジネスをスタートしたといいます。なんとプロモーターとして活動したときの日当を貯めていて、それをビジネスの資金にしたのでした。

アブさんのビジネスは、卵や飲み物などの販売と、軽食の提供です。このお店では自家製の「ピリピリ」も売っています。「ピリピリ」とは、モザンビーク料理に欠かせないスパイスソースのこと。自家製の「ピリピリ」は、お客さんに大好評! 

手前の一番左端にある瓶の中身が、自家製の「ピリピリ」です。 

グッドネーバーズのスタッフが事業地を訪れた際には、お店で買い物をする子どもたちや、お昼ご飯を食べるお父さんたちに対応する、笑顔のアブさんを見ることができました。 

お店に集まる人たちの前に立ち、笑顔を見せるアブさん

衛生啓発プロモーターの活動を通して日当を得たことで、アブさんはお店を開くことができました。さらに、地域のコミュニティでのつながりの大切さや働く楽しさを実感したことが、お店を開くきっかけになったといいます。 

この水衛生支援事業では、衛生啓発プロモーターとして地域の人々に参加してもらっています。それにより当事者意識が生まれ、人々の能動的な活動につながっていくという効果が見込まれます。アブさんが始めた事業は、プロモーターとしての活動から生まれた、地域への主体的な関わり方のひとつの実りといえるでしょう。

さらなる活動のため、ご支援のお願い

水や衛生サービスは健康に生きていくために欠かせないものですが、モザンビークには安全な水を手に入れることのできない人が多くいます。 モザンビークでの水衛生支援事業によって人々の暮らしを守るため、現在、Yahoo!ネット募金を通してご支援をお願いしております。いただいたご寄付は、給水施設やトイレの建設、公衆衛生を向上させるための人材育成など、水衛生支援活動のために大切に使わせていただきます。

モザンビークの人々の命と健康のため、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。 

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