新型コロナウイルスの感染拡大による生活への影響に関するアンケート調査報告
新型コロナウイルス感染拡大により、多くのひとり親家庭にすでに失業などの経済的影響がでています。
グッドネーバーズ・ジャパンが、ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」の利用者に対し今年5月に行ったアンケート調査では、75%が「収入が減った」と回答し、「一日一食」の家庭も見られました。
今回、当団体は9月1日から14日に食品を申し込んだ 「グッドごはん」利用者に、同様のアンケート調査(有効回答数446名)を行い、新型コロナウイルスの影響が出始める前と、今年5月及び9月の収入や食事の変化を調べました。
【回答者について】
アンケートに回答したのは、グッドごはんを利用する「ひとり親家庭等医療費受給者証※」を持つ、主に大田区・品川区、その他東京・神奈川・埼玉在住のひとり親446名です。
※ひとり親家庭等医療費受給者証:18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証
収入への影響について
5月の調査では「4月の収入について」、9月の調査では「8月の収入について」、以前との変化を聞きました。
「収入が無くなった、ほぼ無くなった」と回答したのは9月時点で13.0%と、いまだに8人に1人以上が 「収入が無くなった、ほぼ無くなった」状態で生活していることがわかりました。
来月から減収見込みと回答した人を合わせ「収入が減った」と回答した人は、9月の調査で66.4%という結果になりました。
また、9月の調査では前回調査に比べ、「子どものアルバイトが無くなった」という声が目立つようになり、高校生や大学生のアルバイトが家計を支えていたひとり親家庭の生活も見えてきました。
実際の収入に関するコメント
- 仕事がなくなりました。手当てだけです。
- シフト時間を減らされたり、学童・保育園の休校休園で子供の預け先が無く働けなかったり(ADHDの子供が居り、ひとりでのお留守番は難しい)、様々な要因が重なり大幅に減少した。
- 子供の学校で感染者が出て出勤停止を余儀なくされた。その分の保証はされず、収入が半分程度になってしまった。
- 商店街の小さな小売店勤務ですが、そこの経営もコロナによってかなり状況が悪く、母子家庭よりも柔軟に動ける人間が優先されシフトが減っています。
- 収入は0です。新しい就労先が決まりません。面接に行く交通費もありません。
食事への影響について
食事への影響については、5月と9月の調査では「(以前と比べて)変化なし」と回答した人数にはあまり変化がありませんでしたが、「減った」と回答した内訳(複数回答可)をみると、食事が減った子どもは減少したものの、食事が減った親が増えている、という状況が見えてきました。「子どもの食事が減った」と回答した家庭のほとんどは親も食事を減らしており、5月以前からの食品不足が常態化し、成長期の子どもたちに食べさせるために自分を犠牲にしているとみられます。中には、体重が20キロ減ったという人もいました。
また、「変化なし」と回答した中にも、量や回数は変化がないが、「食事の質」が下がった、と回答する人も複数みられ、「もやしと豆腐がメイン」「お菓子や即席めんが増えた」「果物を食べなくなった」など、栄養バランスに影響が出ている子どもはこの数字で見られる以上に存在していると考えられます。
親と子どもそれぞれについて、平日および夏休み中の一日の平均食事回数について聞くと、「1日1食」の親が1割以上いるということがわかりました。また、給食のない夏休みに食事回数が3回から2回に減るとみられる子どもも2割近くいると思われ、平均1日に1回しか食事をできない子どもや、1日に1度も食べられない日があった子どもがいるということは、少数だとしても見逃せない結果だと考えます。
実際の食事に関するコメント
- 子供にひもじい思いや、成長期に必要な栄養を欠かす訳にはいかないので、自分の食事は後回しになり、COVID-19以前より体重が20kg以上減った。
- 学校もお弁当の為、とにかく食料不足で最近はスーパーの閉店間際の食材半額などを渡り歩いて食いつないでいます。
- (子どもは)登校できた日だけ、食べる。
- 食事の回数は決めておらず、食べ物がある時に食べるという感じです。
- 食費を安く済ませる為、インスタントラーメンや、カップ麺などが増えた。
グッドごはんの取り組みについて
グッドネーバーズ・ジャパンは、2020年3月に政府が臨時休校の要請をする考えを示した際に、ひとり親家庭が困窮すると考え通常行っている食品配付に加え、登録者全員を対象に臨時配付を行いました。
4月以降は感染予防に努めながら対面または配送による食品の提供を継続し、関東(東京・神奈川・埼玉・千葉)の配付対象者数を月165世帯から約500世帯に増やし、8月からは大阪市でも200世帯へ提供を開始するなど、できるだけ多くの利用者に食品を提供できるよう努めております。
寄せられたひとり親家庭の声
- ひとり親として責任の重圧が 子供が大きくなるに連れて重くなってくる。毎日が押し潰されそうになる。
- 周りと孤立してる感覚。子供の病気のことや、子供が大きくなるにつれて生活費も大きくなり、国の補助もなくなり、誰も助けてくれないんだと思うようになった。
- コロナ禍で会社から首を言い渡され子供達に毎食ご飯を食べさせるのが大変苦しいです。夏休みを乗り越えられるか不安しかありません。
- ただただ疲れてます。
食品を受け取った利用者の声
- 娘が箱を開けるとお菓子が入っていると目をキラキラさせていました。僕自身、食べ物を送ってもらえる親がいませんし、こうして送ってもらえるもの、これをきれいに梱包してくれている方に感謝しています。
- 前回はじめて受け取りました。お手紙も入っていて涙がでました。頼れる場所がはじめてできた気がします。
- 物資的にもとても助かっていますが、それよりも名前も顔も知らないご支援者、事務局の方々が私たちのことを気にかけてくれている事にとても救われています!
- 失業中、子供も高校生2人なので、本当に助かっています。
- 子供にだけは不自由な思いをさせないように食べ物だけは日々なんとか頑張っているつもりですが、男の子で食べる量が多く冷蔵庫の中のものはすぐ無くなってしまい金銭的にもギリギリの生活になってきました。今回ご支援をいただき、恥を捨て思い切って人を頼る大切さを感じました。
今年の3月以降は新型コロナウイルスがひとり親家庭の経済に与えた影響について、多くの企業や個人からご理解と協力の申し出をいただき食品や資金の寄付をいただきました。
ひとり親家庭の子どもたちがきちんと食事を取れるよう、引き続き協力を募っております。どうぞよろしくお願いいたします。