私たちグッドネーバーズ・ジャパンは本年、団体設立20周年を迎えます。設立後、長らく海外の子どもたちの貧困支援に取り組んできた当団体は、日本国内の子どもの貧困問題にも目を向け、国内における低所得のひとり親家庭のためのフードバンク事業「グッドごはん」を2017年に立ち上げました。
『この日本に、本当に貧困の子どもがいるのか?』
私たちはグッドごはんの活動を行う中で、このような言葉を少なからず耳にしてきました。しかし、この日本に貧困は確実に存在しており、食事すらままならない子どもたちがいます。
私たちがこの事実を確信する理由の一つは、グッドごはんを利用するひとり親家庭から寄せられてきた“生の声”の内容です。
当団体は、食生活、収入状況、孤独感など様々なテーマにおいて、グッドごはん利用者への調査を継続的に実施してまいりました。その中で利用者の方々から集まったコメントの数々に、「見えない貧困」の実態が強く表れていたのです。そして、それらの“声”から、労働、病気、介護、物価高など、誰にとっても決して他人事とは言えない問題が複雑に絡み合い、自力では到底抜け出せない貧困に苦しむ困窮家庭の現実も浮き彫りとなりました。
このような貧困を放置すれば、今困窮している子どもたちが健やかな生活を送れないまま大人になり、次世代にまで貧困が引き継がれることで、未来の社会全体の安定が脅かされます。すなわち、困窮家庭の子どもたちの貧困は各家庭のみならず、数十年後の私たちの社会や暮らしにも大きな影響を与えます。
グッドネーバーズ・ジャパンはこの状況に危機感をもち、これまでグッドごはん利用者へ行ってきた調査結果や、利用者から寄せられた“声”を紐解きまとめたものとして、本白書を発行いたしました。
本白書を通じて、グッドごはんを利用するひとり親家庭の貧困の実態をお伝えするとともに、より良い未来に向け、貧困に苦しむ子どもを今の社会全体で支えていく必要性をより多くの皆さまと共に考え、解決に向けた歩みを進められることを願っています。
2024年12月
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン
代表理事 小泉 智