10歳のサミア。5歳のときから毎日通っている場所は?

学校へ行く代わりに、危険な職場で働いている子どもたちがいます。その数は、1億5,200万人※1。そのうちのひとりを紹介します。

ゴミ捨て場で働くサミア

サミアちゃんが毎日通うある場所とは?

5歳の女の子が、毎日ある場所に通っている。

そう聞いて、あなたならどんな場所を思い浮かべますか?
幼稚園や保育園かもしれませんし、近所の公園、児童館かもしれません。

大好きな習い事があって、毎日レッスンに通っているという子もいるでしょう。

でもそれは、日本での話です。

サミアちゃんは、バングラデシュの首都、ダッカに住んでいる女の子。
 彼女が5歳のころから通っているのは、大きな通り沿いにあるゴミ捨て場です 

ゴミ捨て場で働くサミア2

ここで、プラスチックのボトルや金属片を集めて、お金に換えるのが彼女の仕事。

サミアちゃんは今年、10歳になりました。
つまりもう5年も、このゴミ捨て場で働いているのです。

幼稚園には行ったことがありません。
 小学校には通いましたが、1年生でやめるしかありませんでした。 

お母さんは教育を受けておらず、結婚してからずっと家に閉じ込められ、娘に教育を受けさせながら生活費を稼ぐ力はありません。
お父さんが亡くなり、家族の生活を支えるには、サミアちゃんも働くしかなかったのです。

裸足で歩くから、足はいつも傷だらけ

ゴミ捨て場にはむっとするような悪臭が立ち込め、道行く人は顔をそむけます。しかし、サミアちゃんはここに通い続けるしかありません。

裸足で働くサミア

「私だって、とても臭いと思う。
でも、ここに来ないと生きていけないから」

強烈な悪臭を放つゴミの上を、サミアちゃんは裸足で歩きます。

 とがったプラスチックや金属片で、足をケガすることは日常茶飯事。  彼女の足はいつも傷だらけです。

「この傷は、転んだときに切っちゃったの。手も痛いんだ。
お金がなくて靴が買えないから、足はいつも傷だらけなの」

鼻を突く臭いや足の痛みに耐えながら、サミアちゃんは朝から晩まで働きます。

しかし、サミアちゃんの小さな手で集められるゴミの量はわずかなもの。
ゴミの買い取り業者からは、冷たくあしらわれます。

「一日中歩き回っていたのに、これしかないのかよ?この金を受け取ったら、さっさと行きな」

こうして渡されるお金は、1日140円程度です。

学校はやめたけど、勉強が好き!

危険と隣り合わせのなか、この5年間、ゴミ捨て場に通い続けたサミアちゃん。
ゴミ捨て場の代わりに学校へ行くことができたら、彼女の暮らしはどう変わっていたでしょうか。

勉強するサミア

日本で生まれ育っていれば、学校に行くのも、勉強するのも当たり前のことです。

しかし、生まれた環境によっては、学校に行って勉強するための時間を、悪臭にまみれ、傷だらけになりながら、働かなくてはなりません。

 生まれる国を自分で選べるわけではない・・・。 

学校で使っていたテキストは、今でもサミアちゃんの宝物です。

「学校はやめちゃったけど、勉強は好きなの」

今でも空いた時間を見つけては、彼女はペンを握ります。

子どもたちが働く「危険な職場」とは?

 子どもたちが働く「危険な職場」は、実はほかにもたくさんあります 
健康への影響が懸念されるタバコ工場や、火花が飛び散る金属加工の工場。

危険な職場

少しでもお金に換えられるものを探して、割れたガラス瓶などが散乱するゴミ捨て場で働くことも。

子どもたちの多くは、低賃金で長時間働かされているだけでなく、安全できれいな水や衛生的なトイレを使うこともできません。
そのため、健康を損なっているケースも多々あります。
その上、 学校に行くべき時間に働いているので、将来、自立するのに必要な知識や思考力を身に付けることが難しいのです 

「児童労働」はどうすればなくなる?

貧困などの理由から児童労働を強いられている、サミアちゃんのような子どもたちは、世界で1億5,200万人もいるといわれています。
なんと、日本の人口よりも多いのです。

児童労働

この子どもたちが、児童労働から解放され、学校に行けるようにするには、どうすればいのでしょうか?

 児童労働には、複雑な背景があり、一時的にモノやお金を寄付するだけでは解決しません 
 長期的に彼らを見守り、支援していくことが必要です 
こうした活動を支える仕組みのひとつが、「子どもスポンサー」です。

「子どもスポンサー」ってなに?

 「子どもスポンサー」は、子どもたちの「こころ」と「身体」の成長を、継続的かつ長期的に見守るプログラム 
1回だけ寄付をして終わりというのではなく、子どもたちの親や親せき、近所の人のように、子どもたちが成長するまで見守ります。

学校

子どもスポンサーを運営しているのは、グッドネーバーズ・ジャパンという国際NGOです。現在は、インド、インドネシア、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、エチオピア、チャドで、子どもたちが支援を待っています。

「子どもたちが働かなくて済むように、助けになりたい」「現地には行けないけど、自分にできることをしたい」という方は、ぜひホームページで詳しくご覧になってください。

 

※1 国際労働機関(ILO)の報告書 Global Estimates of Child Labour: Results and Trends, 2012-2016 より。「児童労働」とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険で有害な労働を指します。