「私の身体、臭いかな」ゴミ捨て場にいる少女。なぜ?
学校へ行く代わりに、危険な職場で働いている子どもたちがいます。その数は、1億5,200万人※1。そのうちのひとりを紹介します。
ゴミ捨て場に毎日通う少女
バングラデシュの首都ダッカで暮らすサミアちゃんは10歳です。
彼女は5歳の時から、毎日ゴミ捨て場に通っています。1日中ゴミを漁り、プラスチックのボトルや瓶、金属片など、お金になりそうなものを探します。
1日の終わりにゴミの買取業者にそれを売ります。受け取るのは110タカほどのお金です。日本円で約140円です。
物価が安いバングラデシュでも、家族の一食分にしかならない 金額です。幼稚園には行ったことがありません。小学校には通いましたが、1年生でやめるしかありませんでした。
お母さんは教育を受けておらず、結婚してからずっと家に閉じ込められ、娘に教育を受けさせながら生活費を稼ぐ力はありません。
お父さんが亡くなり、家族の生活を支えるには、サミアちゃんも働くしかなかったのです。
身体に染み付いた悪臭
サミアちゃんが通うゴミ捨て場に近づくと最初に気づくのが、そのひどい悪臭です。道行く人は、口をふさいだり、顔を背けます。
「私の身体が臭うのは分かっているけど・・・」彼女の衣服と身体には、臭いが染み付いてしまっています。おしゃれをしたい年齢なのに、自分についたゴミの臭いを消すことさえできない。どれほどつらいことだろうと思います。
裸足で歩くから、足はいつも傷だらけ
彼女の足元を見ると、靴を履いていません。お金がなくて買えないのだそうです。
ゴミ捨て場には、尖ったプラスチックや金属片が散乱しています。その上を、サミアちゃんは裸足で歩いているのです。
足をケガすることは日常茶飯事であり、彼女の足はいつも傷だらけです。
「この傷は、転んだときに切っちゃったの。手も痛いんだ」もし日本で、傷だらけの足で1日中ゴミを拾う少女がいたら、すぐに保護されるはずです。
しかし、サミアちゃんには守ってくれる大人はいないのです。違いは、生まれた環境だけです。
宝物は、学校で使っていたテキスト
この5年間、ゴミ捨て場に通い続けたサミアちゃん。
ゴミ捨て場の代わりに学校へ行くことができたら、彼女の暮らしは大きく変わっていたはずです。
学校で使っていたテキストは、今でもサミアちゃんの宝物です。
「学校はやめちゃったけど、勉強は好きなの」
今でも空いた時間を見つけては、彼女はペンを握ります。
子どもたちが働く「危険な職場」とは?
子どもたちが働く「危険な職場」は、実はほかにもたくさんあります 。健康への影響が懸念されるタバコ工場や、火花が飛び散る金属加工の工場。
少しでもお金に換えられるものを探して、割れたガラス瓶などが散乱するゴミ捨て場で働くことも。
子どもたちの多くは、低賃金で長時間働かされているだけでなく、安全できれいな水や衛生的なトイレを使うこともできません。
そのため、健康を損なっているケースも多々あります。
その上、 学校に行くべき時間に働いているので、将来、自立するのに必要な知識や思考力を身に付けることが難しいのです 。
「児童労働」はどうすればなくなる?
貧困などの理由から児童労働を強いられている、サミアちゃんのような子どもたちは、世界で1億5,200万人もいるといわれています。
なんと、日本の人口よりも多いのです。
この子どもたちが、児童労働から解放され、学校に行けるようにするには、どうすればいのでしょうか?
児童労働には、複雑な背景があり、一時的にモノやお金を寄付するだけでは解決しません 。長期的に彼らを見守り、支援していくことが必要です 。
こうした活動を支える仕組みのひとつが、「子どもスポンサー」です。
「子どもスポンサー」ってなに?
「子どもスポンサー」は、子どもたちの「こころ」と「身体」の成長を、継続的かつ長期的に見守るプログラム 。1回だけ寄付をして終わりというのではなく、子どもたちの親や親せき、近所の人のように、子どもたちが成長するまで見守ります。
子どもスポンサーを運営しているのは、グッドネーバーズ・ジャパンという国際NGOです。現在は、インド、インドネシア、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、エチオピア、チャドで、子どもたちが支援を待っています。
「子どもたちが働かなくて済むように、助けになりたい」「現地には行けないけど、自分にできることをしたい」という方は、ぜひホームページで詳しくご覧になってください。
※1 国際労働機関(ILO)の報告書 Global Estimates of Child Labour: Results and Trends, 2012-2016 より。「児童労働」とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険で有害な労働を指します。