「誰も助けてくれない…」貧困に苦しむひとり親家庭の現実とは?
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けて、派遣やパートなど、非正規の仕事に従事しているケースが多いひとり親は、急な収入の減少に苦しんでおり、緊急の支援を必要としています。(2020/4/3追記)
休校や緊急事態宣言による経済活動の停滞がひとり親を直撃しています。あるシングルマザーの月収は16万円→4万円に減少しました。離乳食が始まったばかりの赤ちゃんを育てる別のシングルマザーは、自分の食事を1日1食に減らしていると言います。(2020/5/15追記)
7歳の子どもを働きながらひとりで育てる美紀さん(40代、仮名)の生活
40代の美紀さんには、葵ちゃんという7歳のお子さんがいます。葵ちゃんが2歳の頃、美紀さんは離婚を経験しました。
それ以来、養育費を受け取れずにひとりで子育てをしてきました。
パートを掛け持ちして週6日働いていますが、子どもが熱を出したり、学校の用事などで仕事を休まなければならないことも多く、年収は公的補助金を含めても200万円未満。家計は常にギリギリです。
いつも疲れを感じていて体調を崩しやすいそうですが、パートを休むと収入が減ってしまうため、なかなか休めません。
食費も1~2万円に切り詰めているので、子どもにお腹いっぱい食べさせられないことに罪悪感を感じています。
葵ちゃんに習い事をさせたり、旅行に連れていくこともできません。
特に家計が苦しい時には、『誰も助けてくれない』という孤独感で絶望的な気持ちになっていたそうです。
ひとり親の美紀さんを救ったグッドごはん
申し遅れましたが、私は認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンの細川もなみと申します。
私が美紀さんと出会ったのは、私たちグッドネーバーズ・ジャパンが運営する「グッドごはん」の食品配付でのことでした。
「グッドごはん」では、低所得のひとり親家庭を対象に食品を配付しています。
美紀さんがこの「グッドごはん」のことを聞いた時、『食べ物を人から貰って生活するのは抵抗がある… 』と支援を受けるか迷われたそうです。ですが、子どもにお腹いっぱい食べさせたいと考え、葵ちゃんと食品配付の日に来てくださったのです。
食品を受け取るようになってから、家族の生活は大きく変わりました。
まず、娘の葵ちゃんに毎食きちんと食事を出すことができるようになりました。
葵ちゃんはご飯を楽しみにするようになり、『ごはんは何?』と聞いてくるようになったそうです。勉強にも前より身が入るようになりました。
そしてお母さんの美紀さん。
以前は食費節約のために美紀さんだけが食事を抜くこともあり、そんなときに、葵ちゃんからこう聞かれたそうです。
『ママ、どうしてご飯たべないの?』
食品を受け取るようになってから、母娘はいつも一緒に食事をとれるようになりました。
食費が浮いたことで家計にも少しだけ余裕が出て、『子どもの教育や習い事のためにお金を使ってみたい』と話してくれました。
私がシングルマザーとして思うこと
実は私自身もシングルマザーです。小学生の息子と2人で生活しています。
ひとり親になってすぐの頃は、世帯収入が半分以下になり、公的な手当をいただいて暮らしていました。
今は幸いフルタイムのお仕事をさせていただいていますが、もし病気やケガで働けなくなったり、長期で休まなければいけなくなったら、生活をしていけるのだろうか、息子のことをどうすれば良いのか、と不安がよぎることがあります。
そして、息子に対しては、寂しい思いをさせていたり、がまんさせていたりするのでは、と思うことがあります。
私自身もひとり親として、「グッドごはん」を利用される方と同じ立場に立った経験があるからこそ、ひとり親家庭のお母さんたちが抱える不安に寄り添うことができるのではないか、と考えています。
約半数が貧困状態。ひとり親家庭の現実とは?
現在、日本の子どもの7人に1人が相対的な貧困状態にあると言われています。
この問題は、ひとり親家庭ではより深刻で、国内のひとり親世帯の2世帯に1世帯にあたる50.8%※1が相対的貧困と言われ、例えば親1人子1人の世帯では年間172万円未満で暮らしているなど、特に支援を必要としています。
私たちが行った調査※2では、ひとり親家庭の47%が公的補助金などを含めても200万円未満の世帯年収で暮らしています。
また、ひとり親家庭の保護者は孤立する傾向にあります。同じ調査で、70%のひとり親が、子育てや生活で困った時に、「助けを求めることに抵抗がある」「どうやって助けを求めれば良いのかわからない」「時間や気持ちに余裕がなくて助けを求められない」と回答しています。
ひとり親家庭の貧困は、見えない貧困です。多くのひとり親が、社会とのつながりを持たず、不安をひとりで抱えているのです。
「グッドごはん」を運営するグッドネーバーズ・ジャパンとは?
私が働く認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織であるグッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、国内外を問わず、支援を必要とする子どもたちを守る活動をしています 。
具体的には、アジアやアフリカなど40カ国以上で、世界20万人以上が参加する「子どもスポンサー」というプログラムを通じて、児童労働や早すぎる結婚から子どもを守る活動をしたり、教育を受ける機会の提供、水や医療などの支援を行なっています。
そして日本国内では、ひとり親世帯を対象とした支援を行なっています。2017年9月に「グッドごはん」を始めてから、累計で5,000万円相当の食品(2020年2月末時点)を利用者に配付しています。
グッドネーバーズでは、私たち大人には、すべての子どもたちの「こころ」と「身体」を守る責任があると考えています。
ひとり親家庭を支援するには?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。見えない貧困と呼ばれるひとり親家庭の現実の一部をお知りいただけたのではないかと思います。
「子どもにお腹いっぱい食べさせてあげたい」
これは、親であれば誰もが抱く感情だと思います。
それにもかかわらず子どもにお腹いっぱい食べさせてあげられないひとり親家庭の親たち、そして食べたい気持ちをがまんしている子どもたちのために、あなたにできることがあります。
グッドネーバーズ・ジャパンが運営する「グッドごはん」ですが、ご賛同いただくご支援者様からのご寄付で成り立っています。
どうか、この記事をお読みいただいているあなたも、ひとり親家庭の親子がきちんと食事をとれるよう、ご支援をいただけないでしょうか。
あなたのご寄付で、「誰も助けてくれない」と絶望するひとり親家庭に手を差し伸べることができます。
ご寄付は、1日あたり33円(毎月1,000円)からの継続的なご寄付、または、任意の金額によるその都度のご寄付からお選びいただけます。
あなたのご寄付はこのように使われます。
グッドネーバーズ・ジャパンは、数あるNPO法人のなかでも、一定の基準を満たしていると東京都の認定を受けた認定NPO法人です。
この認定は「活動や組織運営、情報公開が適切に行われている、公益性の高い団体」であることの証明でして、現在、日本には50,000以上※3のNPO法人がありますが、「認定NPO法人」として認定されているのは、わずか2%※3に過ぎません。
ですので、ご寄付がきちんと使われるかという点についてはご安心いただければと存じます。そして、今回ご寄付をいただける場合、ご寄付は国内のひとり親家庭の支援のために使われます。
さらに、「認定NPO法人」への寄付は寄付金控除の対象となるため、寄付金額の約40%が税額から控除されます。
ご寄付により届けることのできる食品は、子どもたちのお腹を満たすだけでなく、大きな不安と孤独を抱えながら、ぎりぎりの日々を送っているお母さんたちの支えになります。
支援を受けたお母さんたちの声をお読みください。
『余裕のない日々の中で、人の温かみを感じ、張り詰めた緊張が和らぎました』
『自分の食事をとれるようになりました』
『娘が「たくさん食べてもいいんだね!これきっと高いよね!」と目を丸くして喜んでいて、娘と二人で、ぴょんぴょん跳ねてしまいました』
『子どもたちは、サンタさんからのプレゼントみたいだと喜んでいます。そんな姿を見ると、私も幸せな気持ちになります』
『食材を持ち帰るととても嬉しそうに喜んで、受験生だった娘は甘いものが食べられて元気になり勉学に励めました』
子どもたちの未来のためにできること
最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
ひとり親家庭と言うと、「それは自己責任なのではないか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、ひとり親になる方の多くは避けようがない理由だったり、子どもとの安全な生活のために離婚という選択をせざるを得なかったのです。
そして、子どもたちには何の責任もありません。その子どもたちが、お腹いっぱい食べられなくてもがまんしています。勉強する元気さえも奪われています。
あなたのご寄付で、そんな子どもたちの状況が変わります。
どうか、ご支援をお願いいたします。
[出典]
※1「平成28年国民生活基礎調査」厚生労働省
※2「グッドごはん利用者(ひとり親家庭)の生活に関する2019年アンケート調査報告」グッドネーバーズ・ジャパン
※3 内閣府NPOホームページ『特定非営利活動法人の認定数の推移』より引用
プライバシーを守るため、グッドネーバーズ・ジャパンが支援しているひとり親家庭の親子の事例から、一部内容を変えて掲載しています。本記事で使われている写真はイメージです。