ビシャル、10歳。目も手も痛い。でも、もっとつらいのは・・・。
学校へ行く代わりに、危険な職場で働いている子どもたちがいます。その数は、1億5,200万人※1。そのうちのひとりを紹介します。
10歳のビシャル君が、採石場で働く理由は?
ネパールに住むビシャル君は、10歳です。
日本でいえば、小学4年生。
学校で勉強したり、友だちと遊んだり、習い事に励んだりする年ごろです。
でも、彼にはそんな時間はありません。
7歳のときにお父さんを亡くした彼は、家族のために働いているのです 。
彼の職場は、大人にとっても危険な採石場。
手で石を押さえ、ハンマーで叩き割って小さくするのが、彼の仕事です。
手は傷だらけ。石の破片が飛び散り、目に入ることも。
1日中この仕事をしても、もらえる賃金は日に70円ほど。両手ですくえるほどのお米しか買えません。
「お腹がすいたら果物を拾って食べるんだ。
でも、ときどき、何も食べられないこともある。
ぼくと家族が食べていくには、毎日仕事に行かなきゃならないんだ 」
ビシャル君のお母さんは、息子には働いてほしくないと思っています。
でも、お母さん自身も病気なのに、建設現場で働いているのです。
だから、ビシャル君は、働くことをやめるわけにはいきません。
「手も目も、痛い。
でも、 もっとつらいことがある。
それは、ほかの子が学校に行っているときに、ぼくだけは行けないってことなんだ 」
学校に行って、勉強して、お医者さんになるというのがビシャル君の夢です。
「お母さんの病気を治してあげたいし、
ほかの貧しい人たちも助けてあげたいから」
子どもたちが働く「危険な職場」とは?
子どもたちが働く「危険な職場」は、実はほかにもたくさんあります 。健康への影響が懸念されるタバコ工場や、火花が飛び散る金属加工の工場。
少しでもお金に換えられるものを探して、割れたガラス瓶などが散乱するゴミ捨て場で働くことも。
子どもたちの多くは、低賃金で長時間働かされているだけでなく、安全できれいな水や衛生的なトイレを使うこともできません。
そのため、健康を損なっているケースも多々あります。
その上、 学校に行くべき時間に働いているので、将来、自立するのに必要な知識や思考力を身に付けることが難しいのです 。
「児童労働」はどうすればなくなる?
貧困などの理由から児童労働を強いられている、ビシャル君のような子どもたちは、世界で1億5,200万人もいるといわれています。
なんと、日本の人口よりも多いのです。
この子どもたちが、児童労働から解放され、学校に行けるようにするには、どうすればいいのでしょうか?
児童労働には、複雑な背景があり、一時的にモノやお金を寄付するだけでは解決しません 。長期的に彼らを見守り、支援していくことが必要です 。
こうした活動を支える仕組みのひとつが、「子どもスポンサー」です。
「子どもスポンサー」ってなに?
「子どもスポンサー」は、子どもたちの「こころ」と「身体」の成長を、継続的かつ長期的に見守るプログラム 。1回だけ寄付をして終わりというのではなく、子どもたちの親や親せき、近所の人のように、子どもたちが成長するまで見守ります。
子どもスポンサーを運営しているのは、グッドネーバーズ・ジャパンという国際NGOです。現在は、インド、インドネシア、カンボジア、ネパール、バングラデシュ、エチオピア、チャドで、子どもたちが支援を待っています。
「子どもたちが働かなくて済むように、助けになりたい」「現地には行けないけど、自分にできることをしたい」という方は、ぜひホームページで詳しくご覧になってください。
※1 国際労働機関(ILO)の報告書 Global Estimates of Child Labour: Results and Trends, 2012-2016 より。「児童労働」とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険で有害な労働を指します。