カンボジアに井戸を!井戸建設プロジェクト
カンボジアに井戸を!井戸建設プロジェクト
2009年5月
グッドネーバーズ・カンボジアボランティア、ハ・フェジュン
今年井戸事業の初のショベルが動きました。
㈱アリスエンターテイメント様のご支援でカンボジア北東部のベンモンという小さな村に井戸を掘り始めました。
ここは典型的な農村地域で、電気と水道がありません。
大半の世帯が、劣悪な住環境、安全でない水による病気、低い就学率、高い失業率に苦しんでいます。
5年間井戸を掘り続け、限界ぎりぎりの掘削機一台と農業用トラクター一台が頼りです。
この二つの機械とグッドネーバーズのスタッフ2人と現地で雇用した2人が協力して井戸を掘りました。
初めは、機械が全部やってくれるので、簡単に終わると思っていました。
しかし、この老朽化した機械は故障してばかりで、しょっちゅうエンジンオイルを取り替えなければならないし、今回はエンジンの歯車の原型が分からないくらいにすり減っていたので新しい物に変えました。エンジンは頑固なおばあさんの様で、作業は思ったように進みませんでした。
こんな掘削機も私たちの苦労が分かるのか、いつのまにか40mまで 掘っていました。
普通40~50mまでは掘ると、飲用に適した安全な水が出るそうです。
40m掘った後は、パイプを通します。パイプの長さが3m程度なので、地下水から地上まで13~14本のパイプをゴム接着剤(強力で,防水効果もあり!)で連結します。
事件が発生したのはまさにこの時。ようやくパイプを地中に設置した後、水が出るか実験してみました。
初めは水が勢いよく出たのですが、まもなくパイプが切れてしまいました。井戸を掘った場所の地盤が弱くて、土がパイプ側に崩れたのです。
地下40mの土の圧力はもの凄く、パイプを土の中から取り出したら、紙のようにしわくちゃになっていました。
私たちはここに井戸を掘るのを断念して近所に移動し、作業を一からやり直しました。結局、一つの井戸を掘るのに約4週間かかりました。一つ井戸を掘るには、多くのお金、時間、努力、また忍耐も必要です。
井戸を掘る間、完成されれば井戸を使えるようになる家族の方たちが、現場を守って共に土地を耕し手伝ってくれました。
より良い機械と作業条件だったら、もっと早く人々にきれいな水をプレゼントすることができたのに、と思うと、4週間かかった事業は効率的とはいえません。しかし、苦労した分得るものも大きかったように思います。地域住民の方々と共に苦労を分け合って井戸を掘ったことで、住民達が井戸の大切さを感じてくれたようです。 きっと、この井戸を大切に使ってくれるでしょう。
多くの井戸を短時間に作るのも重要だけど、その井戸を使う地域住民達が井戸の大切さを知って持続的に管理することがより重要なのです。今回は老朽化した掘削機から大切なことを教わりました。