【バングラデシュ サイクロン】国際防災の日イベントを行いました
南アジアのベンガル湾に面したバングラデシュは、毎年のようにサイクロンが上陸し、甚大な洪水・浸水被害を受けています。特に同国南部の沿海部パトゥアカリ県カラパラ郡は、サイクロンが頻繁に上陸する地域の一つであり、過去にも大きなサイクロンを何度も経験しています。
しかし、サイクロン発生時に住民が避難するサイクロンシェルターの不足、設備の老朽化等により、実際には避難が困難な状況のまま放置されていました。
この状況を受けて、グッドネーバーズ・ジャパン（GNJP）では、「カラパラ郡におけるサイクロンシェルターの修繕・建設および住民の防災能力向上支援」を実施しています。
※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。
日本では9月1日を「防災の日」としています。学校で防災訓練に参加したことを覚えている方も多いのではないでしょうか。
国際的には、10月13日が「国際防災の日」とされています。防災意識の向上、そして災害に対する備えを充実させ被害を軽減させる啓発を目的として、1989年に国連により制定されました。
バングラデシュにおいても10月はサイクロンが到来する時期です。被害を最小限に抑えるためにも、国際防災の日と合わせて「2023年国際防災の日イベント」を行いました。
「災害時に何をすれば良いかがわかった」地域住民の気づき
イベントには近隣地域から参加者が集まりました。地域の人々に防災の重要さを伝えるために会場近くの道路で「旗が3つあがったら*シェルターに避難しよう」「皆で一緒になって防災に取り組もう」といった呼びかけを行いました。
その後、会場に戻り各村の災害管理委員会 (VDMC**) のリーダーや地元のマドラサ（イスラム教の学校）の管理者、地域のリーダーらが地域の方々に被害を最小限に抑えるための避難の重要性や、日ごろの災害への備えなどを伝えました。
各村の災害管理委員会のリーダーたちからは、「グッドネーバーズのプロジェクトが始まる前は、サイクロンの時に何をすれば良いかわからなかった。でも、今はCPP***とも協力し災害時に何をすれば良いかがわかった。グッドネーバーズには本当に感謝している」といった声が聞かれ、私たちも改めてこのプロジェクトの意義を感じました。
一方で、未だにサイクロンシェルターがない地域や道が悪く災害時にサイクロンシェルターまで行くことが難しい地域の人々からは、災害時の不安の声があがりました。サイクロンシェルターをすべての地域に建設することは難しいですが、本プロジェクトを通じて、個人・家族・村レベルで日頃から災害時はどのような行動をとるべきか、サイクロンシェルターに代わる高台や建物はないかなどを、皆で考え準備することは可能です。
*バングラデシュの沿岸地域等では、住民にサイクロンの警報レベルをサイレンや旗を使用し伝えている。
**VDMC（Village Disaster Management Committee) :本事業において設立した村単位の災害管理委員会。各村を代表して村のニーズを地方行政および区災害管理委員会等の防災担当ステークホルダーへ伝達する役割を担う。
***CPP（Cyclone Preparedness Program) :バングラデシュ政府とバングラデシュ赤新月社が共同設立した半官半民の団体。政府・同社のオフィサーが地元住民のボランティアを組織して活動している。
地域住民が主体的に動く大切さ
今回のイベントでは各村の災害管理委員会メンバーが主体となり、会の進行や運営を行いました。もちろん、当団体のスタッフが運営の補助を務めましたが、大切なのはプロジェクトが終了した後も住民の方々が主体となり、地域の防災能力を強化していくことです。
慣れない司会や会の進行に戸惑いながらも、「自分の地域の人々を災害から守るためにできることをしたい」と活動にあたる地域の人々の姿勢は、私たちの原動力になっています。
サイクロンから地域住民の命を守るため、これからも地域のコミュニティと協力しながら引き続き活動を行っていきます。
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