世界中の子ども達に笑顔を。途上国の子どもの教育支援・緊急支援を行う国際NGOグッドネーバーズ・ジャパン

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2023.10.18 活動報告

【ウクライナ危機】PSS専門家による研修を受けました

ロシアによるウクライナ侵攻によって多くの人々が避難を余儀なくされています。 彼らはウクライナ国内外に避難しており、その避難先の一つが隣国のルーマニアです。

グッドネーバーズ・ジャパン(GNJP)では、2023年6月よりルーマニアにて避難者を対象とした心理社会的支援(Psychosocial Support, 以下PSS)※ を行っております。GNJPがルーマニアで行っているPSSは、紛争で被害を受けた人々の心の健康を守ることを目的としています。過去のトラウマ体験と向き合い、感情や記憶を整理し、自分のストーリーを作って表現することでPTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症を予防します。

去る2023年6月下旬、GNJPはルーマニアの事業地にてPSSの専門家である桑山紀彦先生の研修・指導を受け、より良い支援を行うためにPSS手法への理解を深めました。心療内科医、精神科医である桑山先生は認定NPO法人「地球のステージ」の代表を務めており、長年世界各地において心のケアを行ってきました。

今回、桑山先生にはガラツィ市とブライラ市で行われているワークショップの視察と現地ファシリテーターへの指導・研修を行っていただきました。

※本事業は、ジャパン・プラットフォームの助成を受け、認定NPO法人「地球のステージ」のスーパーバイズのもと実施しています。

ワークショップを視察する桑山先生(右から2番目)

「忘れられないあの日」をテーマに

当日のワークショップのテーマは「忘れられないあの日」でした。

参加者は用意された何十枚もの写真の中から、自分にとっての「忘れられないあの日」を語るための1枚を選び、発表しました。7歳の男の子は故郷の麦畑を、8歳の女の子は家族と行った海を思い出しながら、それぞれの思い出を語りました。

自分の「物語」を語るための写真を選ぶ子どもたち

ある12歳の男の子は、紛争中の「あの日」について語りました。彼はウクライナからルーマニアに避難する道中で、破壊され焼き焦げた車をたくさん見たそうです。彼はその情景と、その時感じた恐怖や不安を話しました。

ファシリテーターは参加者の声に耳を傾けながら、感情を引き出す工夫をしていました。

別のワークショップでは、参加者は「忘れられないあの日」を絵に描いて表現しました。わずか6歳の女の子が、ロシアの爆撃機が飛来した様子や敷設された地雷によって車が吹き飛んだ様子を描いていました。

2時間ほどの長時間のワークショップもありましたが、子どもたちは集中を切らさずに参加していました。桑山先生は、現地のファシリテーターがPSSの手法や自分たちの役割をよく理解し、工夫しながらワークショップを実践していることに感心されていました。

子どもたちの作業を見守る現地ファシリテーター

PSS手法の理解を深めました

ワークショップの視察後、桑山先生による現地ファシリテーター向けの講義が行われました。ファシリテーターらは、映画や音楽を用いたPSSへの理解を深めました。

今までのワークショップでは絵を描くなどの「個人制作」を中心に行ってきましたが、今後は音楽や映画の「集団制作」も行っていきます。他者の物語を聞き、自分の感情だけでなく他者の物語も反映した作品を作っていく段階はPSSの最終段階である、と桑山先生は説明しました。ファシリテーターたちはみな、大きな関心を寄せていました。

桑山先生には実演も交えて講義を行っていただきました

より良い支援を届けていきます

傷ついた心は認識しづらく、即座に回復するものではありません。そのため、PSSは継続的に行っていくことがとても重要です。GNJPは、今後も継続的に桑山先生による指導を仰ぎながら、学んだ手法をより効果的に実践していくことで、よりよい支援を行っていきます。

みなさまにも引き続き関心を持ち続けていただければ幸いです。

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