【国際平和デー】エチオピアでの平和構築事業について紹介します
9月21日は「国際平和デー」です。「国際平和デー」は、全ての国と人々の共通の理想である国際平和を記念し、推進していく日として国際連合によって定められました。平和の大切さや尊さを考える重要な一日に、グッドネーバーズ・ジャパンがエチオピアで行っている平和構築事業について紹介します。
エチオピアは、約80もの民族が暮らしているといわれる多民族国家です。しかし近年、特定の民族を攻撃の標的とする武装勢力の活動や、異なる民族コミュニティ間で発生する武力衝突の件数が増えています。これらの紛争が原因となり、現在約290万人もの人々が元々住んでいた場所から避難しています(IOM, 2023)。またエチオピアは、アフリカで3番目に多くの難民を受け入れている国ですが、文化的・言語的差異などが原因となって、難民と難民を受け入れるコミュニティ(以下「ホストコミュニティ」)が緊張関係に陥り、場合によっては武力衝突に発展するケースもあります(UNHCR, 2023)。
このような背景から、異なる民族間の紛争を未然に予防し、持続可能な平和を実現するため、グッドネーバーズ・ジャパンはエチオピアの二つの地域で平和構築事業を実施しております。
①異なる民族間の社会統合支援
エチオピア南部の州境では、開発の遅れや自然災害、高い人口密度が問題視されており、限られた土地や資源をめぐって、民族紛争が繰り返し起こっています。
グッドネーバーズ・ジャパンは、この地域にて異なる民族同士が信頼関係を築き、コミュニティとして結束することを目指す社会統合支援を行っています(日本NGO連携無償資金協力事業)。
先日、現地の平和委員会の人々に対して社会統合研修が行われました。平和委員会は、地域で問題が起こった際に話し合いの場をもったり、治安が悪化した際に政府への情報提供をしたりするなど、地域の安定化のために活動しています。委員会は伝統的リーダー、宗教的リーダー、長老、女性グループ代表、若者代表などの様々な社会階層の代表者によって構成されています。
研修は、約5年前に紛争を経験した、隣接している2~3の村に住む異なる民族の住民代表を集めて、合同で行われました。参加者は、積極的に「平和とはなにか」「紛争は悪なのか」「紛争を非暴力で解決する方法」などについて考えました。
その中で、平和とはトウモロコシのようなものだ、と説明した参加者がいました。彼は、「平和は一日で実がなるものではなく、毎日水をあげたり、おひさまを浴びることで大きく成長していく。もしも土が汚染されたら実は大きくならないし、虫に食べられたら実はならない。一度実がなったからといって世話をやめるとすぐに枯れてしまう」と表現しました。同地域の主な作物であるトウモロコシを使った的確な意見に、大きな拍手が生まれました。
研修を通して、参加者たちは、互いを知り合い、意見を言い合い、違いを称え合い、共通点を見つけ、そして共に平和を作る委員会メンバーとして、今後どのように協力できるかを話し合いました。
このように相互理解や社会的な結束を通して、信頼関係を構築し、紛争を乗り越え、平和な社会へと一歩一歩進んでいけるように、まずは地域の代表者に対して、研修を行います。その後、彼らが中心となり、対話セッションやイベントなど地域が平和になるために必要な活動を行っていきます。
②難民とホストコミュニティ住民の平和的対話セッション
エチオピア西部では、隣国の南スーダンやスーダンからの難民とホストコミュニティの間では、言語や文化が異なるため交流の機会が少なく、個人レベルの争いが発生するなど緊張関係が見られています。
グッドネーバーズ・ジャパンは、この地域にて難民とホストコミュニティの代表者から構成される共同委員会の活動を通じて、両者が対話の機会を増やし、平和的に共存できるような仕組みづくりを推進しています(ジャパン・プラットフォーム助成事業)。
共同委員会は、グッドネーバーズからのワークショップ型研修を受けた後、彼ら自身で、定期的に集まって両者間の問題やその解決策を議論する平和的対話セッションを実施しています。最近行われた平和的対話セッションでは、他支援団体による食料配給がなくなり、より深刻な食料不足に苦しんでいる難民による、キャンプ周辺の村の木々や農作物などの窃盗を防ぐために、委員会がすべき取組みについて議論されました。
難民側の委員からは、「他の難民に対して、ホストコミュニティで窃盗を行わないよう自分たちからも啓発活動を行っている」という活動報告がなされました。またホストコミュニティ側の委員からは、「多くの難民は仕事がなく、食べるものがないため窃盗に走っている。委員会としてそのような難民とホストコミュニティ側の雇用者をマッチングさせることで、難民を助けるべき」との意見が出されました。
このように、平和的対話セッションは両者の問題についてお互いを責め合うのではなく、根本原因は何か話し合ったり、問題解決のために彼らができることについてアイディアを出し合うなど、両者の平和的共存に向けて前向きな雰囲気で行われています。
また、平和的対話セッションで議論した内容を基に、平和的共存の重要性について住民に説明する啓発活動も行っています。
③難民とホストコミュニティ住民の交流イベント
②の共同委員会が主体となって、難民とホストコミュニティの住民が交流するイベントも開催しています。
今年7月末に実施したイベントでは、サッカー大会と伝統的音楽のパフォーマンスが行われました。イベントに参加した難民の一人からは、「イベントによって、難民とホストコミュニティが壁を乗り越え、これからずっと続く協力と友好関係の礎になった」という感謝の手紙が届けられました。このように、日常的に接点の少ない双方の住民が集まって交流することで、お互いに対するネガティブな感情が解消され、相互理解が促進されています。
今後も私たちは、エチオピアの人々が平和で安心した毎日を送っていけるように、こうした支援を続けてまいります。
今回紹介した事業の詳細は下部の記事からご覧いただけます。
- 2023年3月〜「エチオピア連邦共和国ゲデオ県・西グジ県におけるコミュニティの生計向上支援及び社会統合促進による平和構築事業」
【エチオピア 命をつなぐ支援】新しく開始した平和構築事業の開会式を行いました - 2023年3月〜「エチオピア国アソサ地区ツォレ難民キャンプにおける難民とホストコミュニティの生計向上及び社会的結束の促進事業」
【エチオピア 命をつなぐ支援】難民キャンプでの支援活動を行っています
ツォレ難民キャンプ内の様子は、下記のYouTubeからもご覧いただけます。
安心して夜眠れること、大切な人と楽しい時間が過ごせること、おいしいご飯を食べられること、ゆっくりコーヒーが飲めること、たわいもないことで笑えること、こんな日常のすべては平和なしに得ることはできません。
グッドネーバーズ・ジャパンは今後も、平和のために、紛争や自然災害の被害にあった人々のために取り組んでまいります。私たちの活動に賛同、応援してくださる場合は、ぜひ募金へのご協力をお願いいたします。
募金にご協力お願いします
※グッドネーバーズ・ジャパンは「認定NPO法人」です。ご寄付は寄付金控除の対象となります。
▼ クレジットカードで寄付
▼ 郵便払込で寄付
最寄りの郵便局で、窓口にある「払込取扱票」または 「郵便振替払込請求書兼受領証」に必要事項をご記入の上、お振込ください。 ご記入いただく事項は、下記の通りです。
口座番号 | 00900-9-78879 |
加入者名 | NPO法人グッドネーバーズジャパン |
金額 | ご寄付いただきます金額をご記入ください |
通信欄 | 「エチオピア」とご記入ください。 領収書が不要でしたらその旨をご記入ください |
ご依頼人・払込人住所氏名 | 必ずお名前、電話番号、郵便番号、住所をご記入ください |
▼ 銀行振込で寄付
銀行でのお振込みの場合は、以下の口座にお振込みください。
※ 銀行振込みによるご寄付の場合、住所が特定できないため領収書をお送りすることができません。この場合は寄付金控除の対象外となりますので、何卒ご容赦ください。 ご希望の際は、郵便払込をご利用ください。
銀行名 | 三菱UFJ銀行 本郷支店 |
口座番号 | 普通 1155337 |
口座名義 | トクヒ)グツドネーバーズ ジヤパン |
振込依頼人名 | 振込依頼人名に続けて「エチオピア」とご入力ください 例)ヤマダ ハナコ エチオピア |
▼ ヤフーネット募金で寄付(Tポイントの寄付も可能です)
皆さまのご支援ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。