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2023.07.12 人道支援

【エチオピア 命をつなぐ支援】新しく開始した平和構築事業の開会式を行いました

エチオピアでは、2018年以降に発生した民族戦争や干ばつなどの自然災害の影響で、3,000万人近くの方が支援を必要としています。認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンは、そのような危機的状況を受け、食料の配布やインフラの修復、生計支援を行っています。

2023年3月からは、ゲデオ県・西グジ県にて、国内避難民(IDPs)、帰還民及びホストコミュニティの方々(避難民が来る前からそこで暮らしていた人々)を対象とした平和構築事業を開始しています。先日5月30日、本事業の開会式を行いました。

※この事業は外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」です。

事業の背景

本事業の対象地域であるゲデオ県・西グジ県では、土地問題や政治的な圧力を原因とする民族紛争が度々繰り返されてきました。2018年に発生した紛争では、一時85万人以上のIDPsが発生し多くの援助団体による緊急支援活動が行われました。

紛争勃発から5年経った現在、緊急支援を実施していた援助団体の多くは撤退し、ほとんどのIDPsは以前住んでいた地域に帰還しています。しかし、帰還を成し遂げた後も、家が焼かれる・奪われるなどの被害を受け安全な住居を確保できていなかったり、医療・教育などの基礎的なサービスにアクセスできなかったりしています。また、農地や家畜を避難中に喪失してしまったため、生計手段を失い、食糧を自力で確保することが難しい人もいるほか、トラウマを抱える帰還民も多く存在します。

グッドネーバーズ・ジャパンはニーズ調査を行う中で、一連の民族紛争で被害を受けたビフトゥさん(仮名・写真一番左)にお話を伺うことができました。

民族紛争に巻き込まれたビフトゥさん(左)

ビフトゥさんは長年、異なる民族の隣人とともに平和に暮らしていました。ところが、2018年に民族紛争が勃発すると、ビフトゥさんの家や農地は隣人によって焼き払われてしまいます。あらゆる資産と生計手段を失い、平和だった生活は一変しました。紛争から5年経った今もなお、他NGO/援助団体の支援によって建設された隙間風の吹く簡易的なシェルターに住み続けています。

ビフトゥさんは、グッドネーバーズスタッフに対し「目に見える民族同士の衝突はなくなったけれど、また同じようなことが起こり、隣人が敵に豹変するかもしれないと思うと怖くて仕方がありません」と恐怖心を訴えました。 

実際、ゲデオ県・西グジ県におけるゲデオ族とオロミア族間の武力紛争は、1995年、1998年、2018年と繰り返されています。再発防止のためには、継続的な対話の機会を生み出し、信頼関係の構築や相互理解を促進させることが必要です。

ニーズ調査を行うグッドネーバーズスタッフとビフトゥさん(左から二番目)

グッドネーバーズ・ジャパンの平和構築事業

このような背景のもと、グッドネーバーズ・ジャパンは平和構築事業を立ち上げました。本事業では、生計向上支援と民族間の社会統合という2本の柱でアプローチを行います。

生活向上支援は、被害を受けた人々の収入を向上させ生活の基盤をつくることを目的としています。私たちは現地行政の農業担当官らへの研修を行うほか、家畜・農業キットを配布することで生計手段の創生や生産性の向上を促進します。

社会統合は異なる民族が信頼関係を築き、コミュニティとして結束することをめざすものです。ゲデオ県・西グジ県では、平和委員会や小学校の平和クラブの結成、研修を行います。加えて、社会統合イベント等を通して現地政府と住民の対話を促進し、相互理解を高め、生活の基盤を作る支援をします。

事業開会式

5月30日、本事業の開会式が執り行われ、地方政府代表者や関係者らが出席しました。伊藤在エチオピア日本国特命全権大使は、挨拶の中で「グッドネーバーズ・ジャパンのプロジェクトは地域の人々の声を反映させながら、国民対話の機運を高め、ゲデオ県・西グジ県に住む人々の平和を実現するために重要な役割を果たすでしょう」と述べ、事業の成功を祈念しました。 

開会式で挨拶をする伊藤恭子在エチオピア日本国特命全権大使

グッドネーバーズスタッフによる事業の紹介も行われました。スタッフは支援の重要性や事業における地域住民の積極的な参加と協力の必要性を強調しました。

開会式は、温かい雰囲気の中で進行され、エチオピアの文化や伝統に根ざしたパフォーマンスや催し物が行われました。参加者たちは団結し、事業成功に向けた意気込みを共有しました。この様子は現地メディアにも取り上げられました。

開会式の様子
開会式参加者と共に

グッドネーバーズ・ジャパンはこれからも、地域のニーズに合わせた具体的な事業を展開し、持続可能な変革と社会的な発展に貢献していきます。

皆さまのご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

■事業詳細 (3年事業の1年次)

事業期間:2023年3月~2024年3月

予算:85,665,475円 (日本NGO連携無償資金協力贈与契約)

事業内容:現地行政の農業担当官や農業普及員のトレーナー養成研修支援、家畜の配布による生計向上支援、平和委員会や平和クラブの活動の活性化、現地当局と住民の対話の機会創出による両民族の相互理解促進、そして両民族の交流を促すための公共施設の整備支援等

間接裨益者人口:対象となる4つの郡に住む約89万3,988人

活動報告

【エチオピア 命をつなぐ支援】紛争の舞台となった中学校 授業再開にあたり教材を提供しました

【エチオピア 命をつなぐ支援】ひとつのパンを3~4人で分け合うことも

【エチオピア 命をつなぐ支援】紛争や干ばつに苦しむ人たちの命をつなぐ支援を行っています

【エチオピア内戦】緊急支援終了と、「命をつなぐ支援」開始のご報告

エチオピア関連の記事一覧

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